マーケティングのフレームワークに「5C分析」という考え方・理論があります。
5C分析は、3C分析(顧客・競合・自社の3要素の分析)や4C分析(3Cに、協力者、流通、状況、など4つ目の要素を追加した分析)をもとにして、分析する要素を合計5つに増やしています。
5C分析の主な目的は、3C分析や4C分析同じく、重要成功要因(KSF)を発見することです。
目次
5C分析の5要素
5C分析で分析する5つの要素は、3C(Customer:顧客、Competitor:競合者、Company:自社)と新たに追加する2要素です。
別の言い方をすれば4C(顧客・競合者・自社の3要素と、Co-operater:協力者、Channel:流通、Context:状況、などのいずれか1つ)と、4Cの4番目の要素の候補だったが分析対象外になった要素、を加えたフレームワークが5Cであるとも言えます。
5Cの5要素うち、新たに追加する2つの要素の候補には次のようなものがあります。
- Co-operator(collaborator):協力者
- Consumer:消費者
- Community(Context、Climate、Controller):社会環境
- Customer’s Customer:顧客の顧客
- Customer’s Competitor:顧客の競合者
Co-operator(collaborator):協力者
Co-operator(collaborator)とは、自分たちの協力関係にある「協力者」のことです。
重要成功要因(KSF)発見のための4C分析で紹介したCo-operator(collaborator)と同じです。
Consumer:消費者
Consumer(コンシューマー)とは「消費者」のことです。
5C分析でのConsumerは、3C分析での「Customer:顧客」と同じ意味です。
5C分析でConsumer(消費者)を分析対象の要素に採用する場合、「Customer」は顧客ではなく「中間顧客」などと呼ばれ、流通業者など自社と消費者の間を仲介する協力者や取引先を意味するようになります。
Community(Context、Climate、Controller):社会環境
Community(コミュニティ)とは「地域社会」や「共同体」を表す言葉です。
5C分析でのCommunityとは「社会環境」を表しています。
5C分析でCommunityと同じような要素として「Climate」(クライメット)とController(コントローラー)があります。
Climateとは「気候」「風土」「風潮」「情勢」「傾向」「雰囲気」などを表す言葉です。Controllerは、「統制者」を表します。
5C分析でのCommunity・Climate・Controllerは、4C分析でのContext(文脈・状況)と同じように、「社会環境」「外部環境」が調査・分析の対象になります。
Customer’s Customer:顧客の顧客
Customer’s Customer(カスタマーズ・カスタマー)とは「顧客の顧客」という意味です。
「顧客の顧客」とは、自分(達)のお客さんや見込み客がやっているビジネスの、お客さんや見込み客のことです。
顧客の顧客が、どのような人で、どのようなニーズやウォンツを持っているか、などを知ることによって、自分(達)の顧客への理解がより一層深まります。
さらに、顧客の顧客を増やしたり、顧客の顧客の問題を解決したりすることで、間接的に自分(達)の顧客の役に立つことで、自分(達)の商品・サービスの購入頻度を上げ、売上を高めるマーケティング手法もあります。
例えば、オーガニック野菜を飲食店向けに販売している農家の場合であれば、顧客は飲食店のオーナーや料理人になります。
そして、顧客である飲食店の顧客は、飲食店に料理を食べに来る人です。
農家の人が自分達のオーガニック野菜を買っている飲食店について宣伝すると、飲食店に料理を食べに来るお客さんが増え(顧客の顧客が増え)、さらに自分達の栽培したオーガニック野菜を飲食店(顧客)が買うようになりました。
同じようなことが自分(達)のビジネスを含めた様々なビジネスで起こる可能性があります。
顧客の顧客について調査・分析することで、結果的には自分のビジネスの成功に繋がるような情報やアイデアを手に入れるきっかけとなります。
Customer’s Competitor:顧客の競合者
Customer’s Competitor(カスタマーズ・コンペティター)とは、「顧客の競合者」という意味です。
顧客の競合者とは、Contextなどと同じ外部環境のことを意味しています。
ただ、顧客の競合者は、顧客に関わりが強い外部環境の影響を意味していることもあります。
5C分析のメリット・デメリット
5C分析のメリット・デメリットについて話していきます。
実際のマーケティングで考えることに近いフレームワーク
5C分析のメリットとして、実際のマーケティングで考えることに近いフレームワークになってきています。
3C分析もビジネスの中で使われていますが、目的がはっきりしていなければ、調査・分析する範囲があいまいで広過ぎ、しかも自分(達)のビジネスに重大な影響を与える要素を全て分析することが難しいです。
そのため、3C分析は、机上の空論だったり、現実には役に立たないフレームワークになりがちです。
しかし、5C分析は、3C分析よりも調査・分析にする具体的な要素も増え、実際のビジネスに大きな影響を与える要素が取り入れられているため、実際に役立てやすいマーケティングフレームワークになってきていると思います。
3C・4Cよりも調査・分析に手間がかかりやすい
5C分析のデメリットは、3C・4Cよりも調査・分析に手間がかかりやすいことです。
5C分析では分析する要素が5つありますので、3C分析・4C分析をする時よりも労力・お金・時間などのエネルギーが必要になりやすいです。
そのため、3C・4C分析と同じかそれ以上に、調査・分析の目的を明確にすることが重要です。
5C分析関連のその他のフレームワーク
5C分析に関連するその他のフレームワークに、「6C分析」があります。
6C分析は、3C分析をもとにして発展させたフレームワークです。
6C分析は3C分析系のフレームワークで、4C分析や5C分析と分析する要素の内容は同じで、合計6つの要素について調査・分析します。
自分(達)のビジネスを調査・分析する時に、5C分析よりも多くの要素を対象にしたいなら、使ってみると良いかもしれません。。