5(ファイブ)フォース分析のマーケティングフレームワーク

5(ファイブ)フォース分析 ビジネス

マーケティングのフレームワークに「5フォース分析(ファイブフォースぶんせき)」という考え方・理論があります。

「5フォース分析」は、「ファイブフォース分析」「Five Forces分析」「5F分析」などと表記されることもあります。

5フォース分析は、自分(達)のビジネスの外部環境(マクロ要因)を分析する時のフレームワークです。

スポンサーリンク

5フォース分析の5要素

5フォース分析は、事業環境を5つの要素に分けて分析します。

  • 売り手の交渉力
  • 買い手の交渉力
  • 競合者との競争
  • 新規参入者の脅威
  • 代替品の脅威

売り手の交渉力

売り手の交渉力とは、自分(達)の商品・サービスを提供するために原材料などの仕入れが必要な場合、仕入れ先(売り手)が持っている影響力のことです。

例えば、レストランのビジネスをやっている場合、提供する主な商品・サービスは料理になります。

料理は野菜や肉などの原材料を八百屋・農家・肉屋などから購入する必要があります。

そのため、レストランにとっての売り手は料理の原材料を売っている八百屋・農家・肉屋になります。

そして、売り手の「交渉力」とは、原材料をどれぐらいの値段で買うかを決めるときに、自分(達)が希望している購入金額での買いやすさのことだと思えば良いです。

売り手の交渉力が強ければ、自分(達)は売り手が希望している値段で購入することになりますので、収益性は低くなりやすいです。逆に売り手の交渉力が弱ければ、収益性は高くなりやすいです。

買い手の交渉力

買い手の交渉力とは、顧客の影響力のことです。

買い手とは、自分(達)の商品・サービスを買うお客さんを表します。

交渉力とは、自分(達)の商品・サービスに対する顧客の要望(価格はいくらで購入したいか、どのような商品・サービスの質を望んでいるか、購入する時に希望する決済方法、商品・サービスについての保証内容、など)の影響力です。

買い手の交渉力が強ければ(顧客の立場が強く、無理な要望であっても、顧客の言われた通りにするしかなければ)、自分(達)のビジネスの収益性は低くなりやすいです。

例えば、親会社が買い手である子会社があり、基本的には親会社の言いなりになっているような関係では、買い手の交渉力が非常に強いです。

そのため、親会社が子会社への要望として、非常にコストのかかる商品をかかった費用よりも安い値段で売るように言われた場合、子会社は買い手である親会社に文句を言うことはできません。

そして、赤字が確定する商品を作って売ることになります。すると子会社の利益(収益性)は低くなります。

逆に、買い手の交渉力が弱ければ(顧客の立場が弱く、自分(達)の要望を顧客は受け入れるしかない関係ならば)、自分(達)の収益性を高くしやすいです。

例えば、非常に人気があり、予約が取りづらく、料金が高額なコンサルティングサービスを提供しているコンサルタントの場合、買い手はコンサルタントにコンサルティングをしてもらう人になります。

そして、コンサルタント(売り手)と買い手の立場を比べると、コンサルタントの立場が強く、顧客の立場は弱かったとします。

買い手の交渉力(影響力)が弱いため、顧客が安い値段で早くコンサルティングをして欲しいという要望を持っていたとしても、「安くてすぐにコンサルティングをしてもらいたいなら他のコンサルタントに相談してください」とコンサルタントが言えば、顧客の要望は実現せず、コンサルタントの言うことに従うしかない状況にあります。

するとコンサルタントは高額なコンサルティング料金を受け取り続けることができるため、収入(収益性)を高くしやすいです。

競合者との競争

競合者との競争がどの程度あるかによって、自分(達)のビジネスの成功しやすさや成功の度合いは大きく変わります。

競合との競争が少なければ少ないほど、顧客を独占しやすくなるため、収益性は高くなりやすいです。

逆に、競合との競争が多ければ多いほど、顧客を奪い合うことになりやすいため、収益性は低くなりやすいです。

新規参入者の脅威

新規参入者の存在は、自分(達)のビジネスに非常に大きな影響を与える可能性があります。

そのため、新規参入者の強さや多さなどを調査することで、自分(達)のビジネスにとってどの程度の脅威になる可能性があるかを分析します。

基本的に、新規参入者が弱く少ないほど脅威は小さく、顧客を独占しやすくなるため、収益性を確保しやすいです。

逆に、新規参入者が強く多いほど脅威は大きく、既存顧客や新規顧客を新規参入者に奪われやすくなるため、収益性は低くなりやすいです。

代替品の脅威

代替品の存在は、自分(達)の商品・サービスの替わりになる可能性があるため、ビジネスの成功にとって大きな影響力を与える危険性があります。

代替品は、自分(達)の商品・サービスと、同じ種類の商品・サービスだけではありません。

顧客が自分(達)の商品・サービスを購入する目的と、同じ目的を持っている商品・サービスであれば、代替品になります。

例えば、レストランを経営している場合の代替品を考えてみます。自分(達)の経営しているレストランの替わりになる商品・サービスは、他のレストランや飲食店です。

しかし、顧客が自分(達)のレストランに来る目的が、単に「お腹を満たすこと」であれば、自宅で手作りした料理、スーパーマーケットに売っている食材や総菜、コンビニに売っているファーストフード、なども代替品になります。

あるいは、顧客の目的が「家族と一緒に楽しい時間を過ごすこと」であれば、遊園地やテーマパーク、映画館、動物園、山や海でのレジャー、国内・海外への旅行、などが代替品になります。

5フォース分析のメリット・デメリット

5フォース分析のメリット・デメリットについて話していきます。

収益の上げやすさについて外部環境(マクロ要因)を分析できる

5フォース分析のメリットは、収益の上げやすさについて外部環境(マクロ要因)を分析することができます。

5つの要素について調査・分析をした結果、脅威となりそうな要素が、少ないほど収益を上げやすく、多いほど利益を上げにくい、ということが分かります。

収益性が高い理想的な状態は、売り手・買い手の交渉力が弱く、既存や新規参入の競合が存在せず独占状態で、代替品は存在しない唯一の独特な商品・サービスを提供できる、という状態です。

そのため、できるだけ収益性が高い理想的な外部環境を選んでビジネスをすることが大切です。

ただし外部環境はそもそも自分(達)で自由にコントロールすることはできないため、事業やプロジェクトを始める前の市場を選ぶ段階でできるだけ理想的な外部環境を選択するようにします。

また、理想的な外部環境であるように思えたとしても、顧客からニーズやウォンツが無く、求められていない商品・サービスを提供している場合は、収益性は低くなってしまいますので注意が必要です。

利害関係者に関わる外部環境(マクロ要因)について詳しく分析できる

5フォース分析のメリットは、利害関係者に関わる外部要因について詳しく分析できるフレームワークになっていることです。

外部環境(マクロ要因)を分析するためのフレームワークはPEST分析など他にもありますが、利害関係者(買い手、売り手、競合者、新規参入者、代替品(の提供者))に関する分析は5フォース分析が使いやすいフレームワークになっています。

利害関係者以外の外部環境(マクロ要因)については分析しにくい

5フォース分析のデメリットは、利害関係者以外の外部環境については分析しにくいことです。

利害関係者に注目した分析方法であるとも言えますので、利害関係者以外の外部環境(マクロ要因)を分析したい場合は、PEST分析など他の分析方法を使用するのが良いでしょう。